古瀬 勝一氏のfacebookから

PUは分解するものもある、しないものもある。

下記の靴はご常連様(70才)の、《10年前》にお買い上げ頂いた靴です。 先ほど、久しぶりにお修理でご来店下さいましたd(^-^)

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下記の写真は接着剤が経年劣化していてソール中央に貼られたPIR(ポリ イソプレン ラバー)が剥がれ掛けていますが、本体のPU(ポリウレタン)には劣化が全く視られません。
とても優秀なPUです。
いつも通りの簡単な修理が可能ですd(^-^)

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一方、こちらは、店に陳列していたサンダルですが、お客様にお買い上げ頂いた靴と同時期の10年前に仕入れました。 見事に劣化(PUの特徴的《加水分解》)しています。
 実に勿体無いけれど…こうなってしまうと、シューズ学生達の教材にするか?廃棄するか?しかありません。
我々には、PUモールド(成形)ソールの靴を販売する際、お客様に対してデメリットを明らかにする義務があり、凡そ5年~6年が寿命で底割れする事をお伝えしなくてはなりません。
 だから、大切に仕舞って置かずに いっぱい履いて上げて下さいねぇ!と申し上げています(*⌒0⌒)b 

同じPUソールでなぜ差が出るのか??

しかし、上記のお客様が履いていた靴とサンダルの靴、同じPUソールなのに、何故これ程まで優劣の差が出るのでしょうか?
下記の本は日本ケミカル シューズ工業組合で制作された、昭和51年初版の《ケミカル シューズ ハンド ブック》です。(非売品)
500数十ページの分厚い本で、写真6のようにケミカル(科学合成)ソール材の種類や、その材質・内容物(ラバーや樹脂など)のコポリマー ブレンド(混合)についてが詳細に記載されています。

何を何パーセント配合すれば優秀であるか?劣化が早いか?なども細かくです。

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足や革の事だけでなく、ケミカル資材の中身についてを知る事も靴の勉強ですね。 貴重な同書は、僕の宝物ですd(^-^)

ゴム メーカーは勿論、ソール加工メーカーも ケミカル資材について は とても詳しいです。

しかし、我々革靴メーカーや小売店では、それを知る事は難しいです。 何故ならば、それを知ってしまうと、誰もが出来立ての新しいソールや靴を仕入れようとするからです。 ソール メーカー曰く「古い物は次々廃棄しないといけなくなってしまう」と本音。
…やはり、何れにしろ我々に出来る事は、販売の際に、お客様に対してデメリットを正直に確りお伝えする事ですねd(^-^)

レザーソール(革底)なら安心なのか?

だから!と言って、タンニン レザー ソール(革底)が善いと言ってる訳ではありませんよ!

僕も、革底靴は何足も持ってます。
革底も甲革同様に経年劣化するし、虫が付くし、鼠は噛じるし、カビも生えます。
何よりも、日本の道路環境や風土に対してや、人体への影響に関してもケミカル ソールの方が適しているのは確かなんです。
何物にも一長一短、メリットとデメリットが必ず有る事を伏せてはいけません(*⌒0⌒)b

 

他の方の声

「以前より少なくなったとはいえまだまだインポートのものは加水分解が起こりますね」

「結婚式など大事な席で割れてしまい恥ずかしい思いをした、という方が意外に多い。
式用の靴はしまっておくことが多いとはいえ、その時の状況を考えると劣化より、申し訳ないという想いが先にたってしまいます。
履く前にソールを屈曲し点検することを啓蒙しています。」

 

革だからいい、PUだから悪い、ではなく、それぞれにもデメリットメリットがあります、という話でしたわ

 

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