靴型モデリスタ講座(短靴コース)木型講座見学part5 皆さんの木型はどんな木型?
木型講座最終日。
ミシンや漉き機に粉塵がかからないようにするためのブルーシート養生も今日でラストですな。
こっちの記事では皆さんの木型の講評を古瀬先生にお願いします。
まずはNさん。男性で足も体もでっかいでっかい。
古瀬先生「Nさんは体でっかいけど通常の木型では親指を圧迫します。
そのため先端部分をふくらませていますね。写真2枚目のようにちょっと先端を削っているのはおしゃれですね。
従来は親指を圧迫していたため足のサイズ26でいいのに実際は28を履いていたとか。
この木型ではぴったり26サイズが作れるようになりますね」
「はい、Lさんの木型。
次も通常の木型よりも逸脱です。
上の写真にある図を見てください。
これは重みをかけることで足がどのような形かを測る指標の一つですがこの図を見てもわかるように足の側頭部分が膨らんでいます。
彼はサッカーをしていたそうですが、サッカーや陸上経験者はこのように膨らみますね。
ですので下記写真のように私の左手親指部分の所をふくらませるような木型になっています」
「次はKさん。
ほぼノーマルですね、これは。
ちょっと履口を絞っています。
アキレス腱に合わせて作るのですが、実際に履口を絞ったらキュッと締まる靴ができるとは限りません。
下記写真の部分を細めることで足の体重がかかった時に履口が絞る、ということもできますね。
木型は『~~を膨らませたらいい』『~~を絞ったらいい』という単純な問題ではなく、歩いている時の体重移動や骨格なども考えて作らなければベストなものはできません。
オーダー靴を作ったのに最後に靴を伸ばして膨らませるようなところもありますが論外です。
木型をきっちり作ればそんな後付作業なんてしなくていいんですよ。」
「次はOさんの木型。
男性で骨格ががっしりしていますね。
これだけの骨格ならばもっと体型もがっしりしているはずなんですけど彼はそれほどでもないですね」
足の木型作りでそこまで見るものなんですか?
「足を見るとその人が重ねた人生も見えますよ。
そういうものを支えるのが靴ですね」
「次は女性のKさん。」
おぉ!女性らしいやん!
「ところが彼女も小指があたって痛いんですよ。
だから小指部分を狭めて不自然にならないように自然なラインを形成した木型を作っています」
「最後に女性のOさんの木型。標準的なものですね。」
「もうちょっとストレートに仕上げてもいいのですが、彼女のデザイン希望でこのようになりました。この木型でどういう靴を作るか楽しみですね」
「かように皆さんは自分の木型を作りました。
6人中4人が標準から逸脱しているサイズや形なのですが、これら6つの平均値を出すとやはり標準的な数値が出るわけです。
最終日の今日はそういう平均と自分のサイズがどれだけ違うかを検証しています。」
しっかし極端な話世間の半分の人は既存の靴を買っている、ってことは自分の足にピッタリあったものを履いていないってことですよね?
「そうですね。
だからこそそういう人がオーダーシューズを履くと『こんなに違うのか!』と感動するわけです。でもそれを知るためにはオーダーという高価なものを頼まないと出来ないわけで。
でも、中敷きのオーダーメイドをしただけでもだいぶ違いますよ。
そういうことを消費者に知ってもらう活動をするのもこれからの靴社会の役割の一つですね」
というものでした。
木型講座は定期的に行われますのでまた興味ある方はシューネクストにお問い合わせください。
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