13.08.24.のパターンセミナーはスリッポン。ローファーに潜む罠
8/24土曜日に行われたシューネクストパターンセミナー。
この日はスリッポン シューズの内ゴム式でした。
スリッポン?なんかおいしそうな名前ですな。
古瀬先生「スリッポンは正式名称を『SLIP-ON』(スリップオン)といい、略称をスリッポン、と言います。
ビジネスマンシューズでは とてもポピュラーな製法ですが、昔はゴスロリ ファッションの厚底ローファーや、コムデやコムサなどのファッションシューズにも多用されていました。」
「スリッポン自体はかかとがなかったり、革が柔らかく履きやすく脱ぎやすい靴の事をいいます。
で、今回の内ゴム式は上記のように中にゴムが入っています。
従来のスリッポンでは革が伸びてしまえば脱げやすく、調整も利かないので歩くにも疲れが倍増します。
が、この内ゴム式ですと足のウェスト(中足)部分をゴムにしているのでフィット感が良くなり、疲れにくくなります。修理も簡単に出来ます。
最近では裏纏めの難しさ・めんどくささや、1工程増えることによるコストアップにより多用されなくなっています」
履きやすいならいいや、と思うのにねぇ
「ところがこの技法に慣れていない工場などに作成をお願いするとシワシワに出来上がり、ホールド感もありません。
スリッポンを作る際には専用のラスト(木型)が必要となります。
普通の木型よりもウェスト部を1サイズ小さく絞っています。
履き始めはきつく感じますが、革が馴染んでくるとフィット感の良さが増してくるラスト設計です。
靴紐を使う木型でこのスリッポンを作る場合は甲のゴムを1サイズ短く取り付けてウェスト部を留めるようにパターン設計します。」
ほへ~
木型もパターンもつり込み技法も全部普通とは違うってこと?
「もちろんですよ!
でもこの技法は応用性も高く、コンサバ系のデザインには欠かせない機能です。デザイナーも設計担当の方も学んでおいて損のないパターンですよ」
「そうですね。
学校指定で女学生さんにローファーを指定しているところもあるんですが、ゴムがついていないために外反母趾になってしまうケースも多いんですよ」
体が出来る若いうちにずっと履いているから?
「そうです。
日本人は緩ければ緩いほど履き心地がいい、と思ってしまうのでキツ目のサイズを嫌いゆるゆるの靴を履く傾向があります。
で、それを中学なり高校3年間履くと外反母趾だったり巻き爪になったりカカトがガチガチになったりします」
あきませんやん((((;゚Д゚))))
「あきませんよ!
そういうローファーを履くことで足を痛めてフットケアに訪れる方も多いです。
教育現場はもっと靴の知識を持つべきですねぇ。
スリッポンは製甲に技術はいりますが、型紙をきっちり作ることが大前提です。
そういうことも教えるのがこのセミナーの目的ですよ」
パターンセミナーは見学可能ですので興味ある方は事前に申し込みをしてお越しくださいな☆
特定非営利活動法人 靴産業を元気にする熱烈サポーター シューネクスト |
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